「朝な夕な」生活の原点に迫る

さあ、帰ろうと思ったところで、そこからが大変。ざわめきが起こったと思ったら、ササーッと近づいてきて、「先生、うちのブースの場所ね、入り口じゃないとダメなんです」「先生、今晩ちょっと飲みに行きませんか?大事なお話があるんです」「うちは、二番目か、三番目でいいんですよ。でも、そこから先はお客さんが疲れちやうんでね」「うちは、真ん中あたりがいいです」「締めくくりは是非我が社に!」。「細かいことは天野君に任せてあるから、彼に聞いておいてね」。プロデューサーの浜口先生は、瓢々と席を立った。えっ、先生、ちょっと待って、と思ったがもう遅い。彼らの矛先は、完全に私に向いていた。「サブプロデューサーの天野先生ですね。○○会社の宣伝部長です。うちは、是非とも導入部分に」「いや、うちがしょっぱなということで」。皆さん、企業の部長クラスである。当然私より、ずっと年上なのである。その方々が、もう必死の形相で、お目当ての場所がとれなければ、会社に帰れないという感じで迫ってくる。■「朝な夕な」生活の原点に迫る。「生活産業館」内部のテーマは、「朝な夕な」とした。参加した二三社の企業は、生活のさまざまな場面で、「朝な夕な」に使われる商品を販売している。だから、朝起きて、顔を洗って、食事をして、お茶を飲んで、会社に行って、休みの日にはレジャーを楽しむという、人間の生活リズムで進行しようと目論んでいたのである。ところが、多くの企業は、そんな物語設定にはお構いなしである。